子どものやる気を引き出す! 親のアプローチ
恒例となりましたが、マネジメント・ブレイン・アソシエイツ様発行の「子供のやる気を引き出す 親のアプローチ」を転載させて頂きます。
保護者の方々にも何かの気づきの一つにして頂ければ、これに勝る幸せはございません。
出典:
マネジメント・ブレイン・アソシエイツ発行
「子供のやる気を引き出す親のアプローチ」
☆子どもの行動の目的を考える!~関心を引く~☆
◇子どもの行動の目的を知ることは重要なことです。不適切な行動を子どもが行う時、そこには、隠れた目的があるものです。今回は、子どもの行動の目的である「関心を引く」ということについて考えてみます。
◇子どもは、どんなところでも周りの人の関心を引いて、自分がその輪の中心にいたいと思っています(まあ、大人でもそういう傾向は残っていますが)。
◇しかし、その欲求が受け入れられないと周りの人から関心を引こうと子どもは様々な行動を取るものです。
◇特に、子どもは、自分が親から関心を向けられていないと感じると、親に注目されようとして、様々なことを起こします。親の関心を引こうとすることは、親の愛情を自分に向けようとすることと同じですから、是が非でも親に対して何かしらの行動を取るものです。
1.親に対して我が儘な行動や言動を取る。
2.親にいたずらをしたり、親にちょっかいを出す。
3.突然騒ぐ。大声を出して驚かせる。
4.友だちに意地悪をしたり、友だちとけんかをする。
5.元気を失くしたり、無気力になったりする。
◇上記のどれもが、子どもが親の関心を引こうとして、繰り広げられる行動・言動です。親の関心を引く手っ取り早い方法が、親から怒られるということなのです。
◇ですから、親は不用意にこの手に乗ってはいけないのです。子どもが親の関心を引くために、わざと悪いことをしているとか、元気をなくしてすねていると思ったら、違うアプローチをとることです。
◇叱るよりも、子どもが何を求めているのか、積極的に子どもの話を聞いてもいいかもしれません。「最近、花子ちゃんは、お母さんに叱られたいみたいだけど、どうしたのかな?」というように、話しかけて見てもいいかもしれません。
◇子どもが関心を引こうとする前に、親は子どもに関心を示して、子どもに愛情を注ぐべきなのです。ただ、関心を示すことと過干渉になって、過保護になることとは違います。
子どもの存在に関心を示してください。子どもの行動に関心を示しすぎて過干渉になってしまってはダメです。
◇子どもが、あたり前のこと、適切なことをしたら認め、子どもが不適切なことをしたら叱ってあげることです。このバランスが、愛情を示す鍵なのです。
◇子どもの行動が問題だと感じたら、そこに埋め込まれている子どもの目的を考えてみてください。そうすれば、叱るだけではない行動が取れるかもしれません。
『子どもの行動の目的を考えよう!』
☆子どもの行動の目的に対応する!
◇前回は、子どもの行動の目的を考えてみようということで、関心を引くという目的について考えましたが、前回の内容を踏まえて、次の事例について考えてみてください。この事例は、教師研修の時に使うものなので、お母さんやお父さんにとっては、ちょっと違和感があるかもしれませんが、自分が教師になったつもりで考えてみてください。
◇以下の事例の対応方法を考えてみてください。
事例1)中学1年生の太郎は、板書をノートに写すのに大変丁寧で教師をイライラさせます。イメージの図でさえ、定規で丁寧に描きます。字は一字一字時間をかけて丁寧に書きます。だから、他の生徒の2倍の時間を要します。丁寧に書くことが目的ではないので、もっと早く書くよう再三促しますが、相変わらずマイペースです。
事例2)小学5年生の花子は、やたら説明を聞き返します。その度に教師は、「先生の説明をちゃんと聞いていましたか」とイライラした態度で訊きます。でも、結局説明をもう一度繰り返すことになります。
◇子どもの好ましくない言動を理解するには、自分の感情から理解する方が簡単です。まず、子どもの行動を見て、自分がどういう気持ちになったか考え、そして、そこから子どもに対する対応を考えてみてください。
◇それでは、考えていきましょう。基本的には、自分の感情から子どもの目的を考え、対応することなのです。
◇まず、事例1(ノートに時間がかかる)で注目するところは、「イライラさせます」という教師の感情です。こういう感情が引き起こされると言うことは、「注目を引く・関心を引く」ということが、生徒の目的になっているということです。アドラー心理学では、そう仮説を立てます。
◇生徒は、丁寧に書くことを目的としているというよりも、教師に注目してもらいたいのです。ですから、こういう時の対応は、無視するか、ノートを書く時間を指示するのです。
◇それでは、考えていきましょう。基本的には、自分の感情から子どもの目的を考え、対応することなのです。
また、他の生徒の良いノートを皆に示して、先生の関心を良いノートに寄せるのです。そういう対応をしていくと、子どもは目的を達成する手段を見直していくものです。
◇事例2(説明を聞き返す)も「イライラした」がキーワードです。
この花子さんは、教師に注目してもらいたいのです。もしかしたら、教師の説明は、しっかり聞いているかもしれません。
ですから、教師は、「説明はこの一回だけだから、しっかり聴くんだよ」といってから説明をするのです。花子さんが、説明を聞き返したら、相手にしないで、もしどうしても聴きたかったら、授業後に聴きに来なさいといって、授業を進めれば良いのです。
◇今回の事例は、学校場面での事例ですが、この事例を親子関係の場面に置き換えても、考え方は同じです。子どもの言動で、親の感情が引き起こされる訳ですから、その引き起こされた感情を親が冷静になって受け止め、子どもの言動の目的を考えるようにしてほしいのです。
◇そして親は、子どもの言動が、子どもの目的に合っているかどうかを教えてあげてほしいのです。「こういう風にすれば、関心を持ってもらえるのよ。今みたいな行動では、マイナスの関心しか持ってもらえないわよ。それじゃ、逆効果でしょ!」と言うように。
今日から自分の感情をもとに、子どもの目的に対応してみてください。
『自分の感情をもとに、子どもの目的に対応しよう!』
☆子どものセルフ・エスティームを高めるために!☆
◇私は、大学を卒業してから17年間、学習塾の現場にいて、授業をしてきました。そして、2001年から17年間は、教育機関専門のコンサルタントとして、様々な学校や学習塾の授業を見、授業研修や教師研修をしてきました。
◇どういう視点で授業を見、研修をするかというと、一つは、授業をプレゼンテーションとして考えて、授業の良し悪しを判断する領域。もう一つは、生徒に対して承認活動をどのくらいの頻度で行っているかという領域で授業を判断します。
◇特に、子どものやる気を引き出すと言うことで言えば、承認活動の頻度が重要になります。先生は、当り前という意識が強すぎて、なかなか生徒を認めないものです。
自分が教えたことは、生徒はすぐに出来るはずだ、と思い込んでいる場合が多いのです。今教えたことが出来るのは当然だ!という意識が強いので、なかなか生徒を承認できないのです。
◇ですから、生徒が問題を解いて出来ても、当り前だから、承認したりすることが少ないのです。しかし、生徒と信頼関係のある先生は、当り前という意識よりも、生徒の側に立って授業を展開するので、生徒の努力を承認する頻度が非常に高いのです。
◇生徒が正解したことを生徒に側に立って、承認するようにすれば、簡単に承認活動が増えます。そして、この他者による承認活動が、実はやる気の素になっているのです。
承認の効果によって、子どもは、自分の能力に自信を持つようになるのです。自分自身を有能だとか、他者から重要に思われているとか、そういう感情を自然と持つように子どもがなれば、子どもにやる気が生まれます。その感情のことをセルフ・エスティーム(自己有能感・自己重要感)と私は呼んでいるのです。
このセルフ・エスティームを高めることが、実はやる気を向上させることになります。数多くの承認を子どもに与えるようにしてください。そのために、当たり前に出来ている点を承認していくことです。
『子どものセルフ・エスティームを高めるために、数多くの承認を子どもに与えよう!』